青銅器館
BRONZEWARE
3展示室

青銅器になった動物たち

中国古代青銅器のなかには、さまざまな動物のモチーフが登場し、実在の動物のみならず、空想上の獣たちも数多く見られます。本企画では、そうした動物モチーフに注目し、中国古代の人々の自然に対する観察眼、豊かなイマジネーションを読み解いていきます。

第3展示室では青銅器の3Dスキャンデータとアニメーションを用いた動画を常時上映しています。さまざまな文様や機能、通常は見ることのできない内部の様子や可動箇所など、ビジュアルでわかりやすくご紹介しています。

  • 虎卣

    こゆう
    時代
    殷後期 紀元前11世紀
    通高
    35.7㎝
    重量
    5.09㎏

    後肢で立つ虎が人を抱え、丸のみにするかのような不思議な造形を表す器。虎が人を食べようとしているとも、虎の姿をした神が人を守護しているとも言われるが、何を意味しているのかは定かでない。『春秋左氏伝』には虎に育てられた赤ん坊の説話が載せられているが、中国古代の人々にとって、虎とは危険な猛獣であるとともに、恵みの仁獣としての顔ももつ、二面性のある神聖な動物として捉えられたのであろう。

  • 象文兕觥

    ぞうもんじこう
    時代
    殷後期 紀元前12-11世紀
    通高
    22.3cm
    重量
    1.83kg

    兕觥とは儀式の際に酒や水を注ぐために用いられた器とされ、カレーのルーを入れる容器に似た胴部に、獣の姿をかたどった蓋、やや大ぶりの把手がつく。器全体が様々な獣の文様に覆われており、胴部には大きく饕餮、その上にはゾウやウサギ、蓋の上には夔龍、ゾウ、鳥、把手には大きな角と羽をもつ獣が表される。繊細な造形もさることながら、隠れたモチーフを探す愉しみも味わえる逸品。

  • 鴟鴞尊

    しきょうそん
    時代
    殷後期 紀元前13-12世紀
    通高
    22.4㎝
    重量
    1.5㎏

    鴟鴞とはフクロウ・ミミズクの類を指すとされるが、中国古代の文献中では、鴟鴞は悪鳥の代表格としてあつかわれていた。この鴟鴞尊には、野生のミミズクの細かな特徴が表現されており、殷周時代に工人たちが実物をよく観察していたことを物語っている。果たして、当時の人々は鴟鴞を悪鳥とみなしていたのか。中国古代の動物観を探るうえでも興味深い作品。

  • 金銀錯獣形尊

    きんぎんさくじゅうけいそん
    時代
    北宋 10-12世紀
    通高
    28.6㎝
    重量
    7.9kg

    ロバのような、ウサギのような姿の動物をかたどった器で、背中に蓋がつき、内部に液体を貯めることができるようになっている。殷周時代には、こうした動物型の酒器を「犠尊(ぎそん)」と呼んでいたが、この器はそれを北宋時代に模倣して製作したもの。愛くるしいフォルムもさりながら、眼には赤い宝石が嵌め込まれ、体中を金銀の象嵌文様が覆うなど、豪華な装飾がほどこされているのも見どころ。

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    戈卣

    かゆう
    時代
    殷後期 紀元前12世紀
    通高
    27.2㎝
    重量
    3.13㎏

    まるまるとした鴟鴞(フクロウ・ミミズクの類)が2羽、背中合わせになった卣。器の側面、鴟鴞の腹部と翼には細かい鱗文がぎっしり並び、顔面と翼の間には平彫り様の夔文を挟んでいる。蓋と器内底に「戈」の名があるため、この名がついた。