青銅器館
BRONZEWARE
2展示室

青銅器の種類・用途

豪華な道具たち

殷周時代の青銅器は単なる調度品ではなく、祖先神を祀る儀礼に用いられた神聖な器でした。儀礼の文脈のなかで青銅器には様々な用途が与えられており、その用途に応じて高い機能性を発揮するよう綿密な設計がなされているという点も、殷周青銅器の大きな特徴の一つです。ここでは殷周青銅器の豊かなバリエーションを、用途・機能性という観点からご紹介いたします。

  • ヒョウ羌鐘

    ひょうきょうしょう
    第一器
    時代
    戦国前期 紀元前5世紀
    通高
    31.7㎝
    重量
    4.60㎏

    釣り鐘の一種である鐘は複数個を組み合わせ、複雑な音階を奏でることもでき、そうしたセットを編鐘と呼ぶ。ヒョウ羌鐘は洛陽金村の出土、本来は14個でセットをなしていたが出土後に散逸、当館にはそのうちの12器、カナダのロイヤルオンタリオ美術館に2器が収蔵される。中央の鉦間には銘文が入り、ヒョウ羌が武功を立てて韓宗、晋公、周王に功績を認められたことを記す。戦国時代初頭の様相を克明に記録する歴史資料としても貴重。

  • 宰椃角

    さいこうかく
    時代
    殷後期 紀元前11世紀
    通高
    22.3㎝
    重量
    1.10㎏

    角は爵と似た形状の器だが、左右についた燕尾形の注ぎ口が左右対称となる点が異なる。器の用途としては爵と互換性があったらしく、爵に代わって墓に副葬される場合が見られる。把手(鋬)(ばん)内部には「康冊」、器内壁には5行30字の銘が入り、宰椃が王の主催する儀式に参加し、褒賞を得たことを記念してこの器を制作させたと記す。

  • 螭文甗

    ちもんげん
    時代
    春秋中期 紀元前7世紀
    通高
    45.5㎝
    重量
    8.20㎏

    寸胴の胴部に太い三脚がついた器で、くびれた腰の内部は簀子(すのこ)状になっており、中空の脚の内部に水を入れて火にかけ、スチームを発生させることで蒸し料理を行うための甑(こしき)。本器は胴部と脚が分離するタイプだが、一体型のものも多く作られた。胴部上半と脚部にはそれぞれ一条の文様帯がめぐり、螭文とよばれる龍の文様の一種が施される。シンプルな造形ながら鋳上がりの良さが目を引く。

  •                          
  • 竊曲文四足盉

    せつきょくもんしそくか
    時代
    西周後期 紀元前9ー8世紀
    通高
    31.0㎝
    重量
    4.47㎏

    把手と注ぎ口がつき、三脚ないし四脚によって胴部が支えられる構造の器。用途に関しては諸説あるが、酒を水や香草の煮汁と混ぜ合わせたり、下から加熱して酒を温めたりするために使用されたと考えられている。そうした用途と関係して、本器にはしっかりと閉まる蓋がつき、鎖で把手とつながれて散逸しないように工夫がほどこされている。頸部にあらわされたS字状の文様は竊曲文と呼ばれ、西周時代後半から春秋時代にかけて流行を見せた。