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「しきょうそん探偵からの挑戦 青銅器検定」解説編
2024.04.26

Q1.殷周時代は今から何年前?

A. 中国でさかんに青銅器がつくられたのは殷王朝から周王朝の時代。殷から周へと王朝が交替したのが、今からおよそ3000年前です。日本では縄文時代が終わりにさしかかるころのことでした。ちなみに、鴟鴞尊はおおよそ3200年前につくられたと考えられています。

Q2. 青銅は銅(Cu)とどの金属の合金?

A. 青銅は銅(Cu)と錫(Sn)の合金を指します。銅単体よりも錫をまぜることによって熔解する温度が低くなり、マグマのようにどろっとするのではなく、水のようにさらさらと流れるため、鋳造のような加工に向いているというメリットがあります。

Q3. 鼎の用途は次のうちどれ?

A. 正解は「肉入りスープを煮る」。丸い胴体に三脚が特徴的(四角い胴体に四脚がつくものもあります)の鼎は、足ごと火にかけて肉入りのスープを煮るために用いられました。周の時代では、身分によって所有できる鼎の数に制限があったとされ、そこから権威の象徴としての性格もそなえるようになります。

饕餮文鼎 殷後期・紀元前12-11世紀 泉屋博古館蔵

Q4. 爵の用途は次のうちどれ?

A. 正解は「酒に燗をつける」。中国ドラマなどでは爵で酒を飲んでいるシーンがよく出てきますが、現在では酒を直接飲むためではなく、燗をつけるために用いた温酒器する説が有力です。

饕餮文平底爵 殷前期・紀元前14世紀 泉屋博古館蔵

Q5. 次のうち斝はどれ?

A. 正解は④です。

饕餮文斝 殷後期・紀元前12世紀 泉屋博古館蔵

斝は酒を温めるために用いたとされる器。①の盉は酒を温めたり、酒と香草の煮汁をまぜるための器。②は甗と呼ばれる器で、食べ物を蒸すために用いた調理具の一種です。③の觚も酒器の一種ですが、こちらはどろっとした甘酒を飲むために使用されました。

鬲父乙盉 西周前期・紀元前11-10世紀  大史友甗 西周前期・紀元前11-10世紀  祖壬觚 殷後期・紀元前13-12世紀  泉屋博古館蔵

Q6. 次のうち匜はどれ?

A. 正解は①です。

竊曲文四足匜 西周後期・紀元前9-8世紀 泉屋博古館蔵

匜は儀式の場で手を清めるために用いる器で、匜から水を注いで手を洗い、その水を盤という器で承けていました。②は觶と呼ばれる器で、酒を飲むために用いていました。③の豆は肉類や野菜のピクルスなど、味の濃いおかずを載せるための器。④は穀物を盛りつけるために用いた簋という器です。

癸觶 殷後期・紀元前12世紀  環耳豆 戦国前期・紀元前5世紀  鱗文簋 西周後期・紀元前9-8世紀  泉屋博古館蔵

Q7. 「饕餮」は何と読む?

A. 「饕餮」はトウテツと読みます。饕餮は空想上の獣の一種で、貪欲で人に危害を加える凶悪な怪獣とされています。殷周時代の青銅器には、獣の顔面文様がしばしばあらわされるため、宋代の学者が、これは饕餮をあらわした文様ではないかと考え、饕餮文と名づけました。ただ、殷周時代当時の人がこの文様をどのように呼んでいたのかについては、よくわかっていません。

蝉文爼 殷後期・紀元前12世紀 泉屋博古館蔵

Q8. 「鴟鴞」は何と読む?

A. 「鴟鴞」はシキョウと読みます。鴟鴞はフクロウやミミズクのことを指すとされます。西洋ではフクロウは幸福の鳥、知恵の象徴など、プラスのイメージでとらえられますが、古代中国では鴟鴞は縁起の悪い鳥と考えられていました。その姿をかたどった青銅器がつくられ、墓に埋葬されているのは、邪霊をはらう力があると信じられていたからかもしれません。

鴟鴞尊 殷後期・紀元前13-12世紀 泉屋博古館蔵

Q9. 次のうち龍をあらわした文様はどれ?

A. 正解は②です。

饕餮文有蓋瓿 殷後期・紀元前11世紀 泉屋博古館蔵 

①は竊曲文と呼ばれる文様で、獣の眼のまわりにC字やS字の飾りを加えたようなデザインですが、何をあらわしているのかについては諸説あります。③はクジャクのように華麗な羽を広げた鳥の文様で、鳳凰の原形になったと考えられています。④は蝉文です。セミは中国古代では再生の象徴と考えられていました。

垂鱗環帯文壺 春秋前期・紀元前8世紀  井季卣 西周中期・紀元前10世紀  蝉文俎 殷後期・紀元前12世紀 泉屋博古館蔵

Q10. 次のうち「宝」という字はどれ?

A. ③の金文が「寶(宝)」字。建物をあらわすとされる「宀」のなかに、左上に「玉」、その下に「貝」、右側には「缶(ふ)」のパーツが入っています。

①は「埶(藝)」字。人がひざまずいて若木をささげもつ姿をあらわしています。②の「宗」は現在の漢字とあまり変わらない字体です。④は青銅器の鼎を横から見た状態をあらわした字で、いわゆる象形文字の一種です。